あなたの芯は、どんな色?

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『(前略)
京都の嵯峨に住む染織家志村ふくみさんの仕事場で話していたおり、志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。

「この色は何から取り出したんですか」
「桜からです」

素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつとした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。
(中略)
春先、間もなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンク色になろうとしている姿が、私の脳裏にゆらめいたからである。花びらのピンクは幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花はいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したものにすぎなかった。

考えてみればこれはまさにそのとおりで、木全体の一刻も休むことのない活動の精髄が、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれのような限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。たまたま志村さんのような人がそれを樹木全身の色として見せてくれると、はっと驚く。(後略)』

大岡信『言葉の力』(中学校「国語2」光村図書出版)より



あなたの芯には、どんな色?

私の色は・・そうだなぁ。
願うは、夕陽のようなあたたかいオレンジ色。
魅せられるは、酸素を感じるようなみどり色。
望まぬは・・・。いや、どんな色にもきっと意味はある。
澄んだ気持ちの、透明な色もいい。



今日は午前中に武雄市文化会館内で会議。
いいチャンス、まずは武雄の老樹に挨拶しにいこう。


これを読んでくださった貴方が、
あなたらしい色の「今日」をお過ごしくださいますように。


※写真は「みかんの木」のうつわ。木の器職人、山上さんの作品。
(直径5.5~6.5センチ、高3センチ)
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by Mizzypon | 2008-09-17 07:38


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